🚘K様のシトロエンXM オールペイント ドキュメント

  昨年(H28年)夏頃のお話になります。弊社のお得意様であるシトロエンCXのオーナーのN様より「シトロエンXMを色替えオールペンしたい知り合いがいるのだけど如何ですか?」とお話を頂き、断る理由も無くお請けしました。

 

 ご紹介頂いたK様はシトロエンのXMとBXの2台を所有する女性シトロエンマニアであります。まずはN様とお二人で御来店頂き、現車の確認をさせて頂きました。前オーナーの保管状態の良さと愛情が感じられる程度の良いXMです。塗膜の劣化も無く、不思議な位に何と板金の必要な箇所が全く見当たらない極上の個体でした。ここでK様のシトロエンの作業前の画像を披露させて頂きますが、わたくしの大失敗でクルマ全体像の画像を撮り忘れました。失礼!


庫する前に様々な難題が待ち受けておりました。それらをクリヤーして「行けるぞ」と言う判断のもとに、いよいよお預かりする、と言う段取りです。

真っ先に上がった問題は塗装にあたってフロントウインドガラスをマスキングしないで、ちゃんと外して塗装をしたいと言う事になるのですが、ガラス業者さん情報によりますと、どうやらガラスを外すとガラスの周りのウエザーストリップが破損し交換が必要になってしまうようです。

パーツを調べると既に生産中止のパーツと化してました。そこでウエザーストリップを破損させずに外す事の出来るガラス業者さんを探す事から始めました。弊社、取引先の業者さんにはあっさりとお断りされてしまい、やっと快く「やって見ますよ」と言ってくれたのはケイ・グラスサービスの有賀さんでした。

その他、一度外すと交換になってしまうパーツも多々ありそうなのですが何とか前向きに全て再使用するつもりで取り組もうと決心をし現車をお預かりしました。

次のステップですが今回は色を変える事になるので、どのような色にするかと言う打ち合わせになります。K様にとりましては色を変えてXMに乗りたいと言う永年の夢だったようで、およその色は見当を付けていたようです。その色はシトロエンXMとして日本には輸入されなかった”BRUN CASTOR“という色になります。いわゆるブラウン系の色ですね。

K様にとりまして色の決定は大事な部分ですから一切妥協は許しません。実際に配合データが多く存在する色でしたので、それぞれペイントした場合、どのようなイメージになるか弊社で廃棄するフェンダーやドアにサンプリングの塗装をしては確認の為にその都度、御来店を頂き、この目で見て頂き最後に「これ色でお願いします!」と言う、ご納得の言葉を頂き決定に到りました。

 

これでスタートが切れますね。問題のフロントウインドガラスが無事に外され細部の装着品が外された画像を御覧ください。


K様の要望で標準装着のバックドアスポイラーを初期型のウイングタイプに変えたいとの事ですので入手して持ち込んで頂きました。画像にあるように数多くある穴を全て溶接にて埋めてパテで処理し新たなスポイラー用の穴を空けて取り付け出来るようにします。簡単なようですが結構な手間です。


ここで少し種明かし的なお話になりますが画像は嘘をつきませんので語らせて頂きます。今回は色を変える作業になりますので細部に亘ってクオリティーを上げる為にはボルトオンの各パネルを全てボディーから外す作業をします。外す事によって裏側も綺麗に塗装を仕上げる事が出来るのですね。

各パネルをボディーから外した画像です。


種明かしの話が続きますが通常色を変えてのオールペイントは先程も申し上げましたがパネルの裏側の塗装を仕上げてから再びボディーにパネルを装着して表面を一気に仕上げる工程を取ります。弊社、塗装スタッフの泉は塗装職人上がりのわたくしから見ても超一流のスプレーマンです。彼の選んだ工程はボディーはボディーで仕上げ、パネルはそれぞれ単体で全て仕上げて塗り上がったパネルをボディーに装着して行くと言う工程です。いわゆるソリッド系(ホワイト等)なら未だ理解出来ますが、わたくしの中の常識ではメタリック塗装である事とトップコートの塗り肌を考慮すると到底チョイス出来る工程ではございません。余程自信があるのでしょう。ここは泉を信用して任せる事にしました。

 

次の画像は屋上の板金スペースで可能な限り塗装に向けてのサンディング作業です。


さあ、いよいよボディーの方が先に塗装ブースに入りマスキングを施し塗装に入る直前です。わたくしも職人時代を思い出しますと、どの様な仕上がりになるのか一番緊張の瞬間です。


弊社のスタッフを褒めるつもりはないですが流石の仕上がりです。素晴らしいの一言!


ボディーの塗装が終わり各パネル類の塗装に入ります。ブースの中で同じくセッティングが終わった所です。


無事にパネル類の塗装も終わり、その他小物のパーツもペイントして塗装工程が終了です。組付け作業は余り画像にはなりませんので割愛させて頂きます。

ここで最後にK様に完成引き渡しの日の早朝にわたくしが撮ったK様のシトロエンXMの雄姿を御覧ください!(ビフォーアフターですね!

 

何時間か後にいよいよK様が御来店されます。わたくしの心境を察して下さいませ。果たしてK様は満足されるのかと?


K様と同じくシトロエンXMを所有しプロのカメラマンでもあるO様のお二方の到着です。

クルマを降りてお二人とも満面の笑みと驚きのお顔で供に開口一番、「ヤバイ!素晴らしい!想像通りのイメージの色!」と大絶賛!

K様は「涙は出そう」とまで感激して頂いたのです。

 

ここに至るまで、かなりお時間も費やしてしまい申し訳なかったのですがK様のご満悦な笑顔を見たとたん許して頂けたのかなあと勝手に判断してしまいスタッフ及び業者さんの協力があってこそ、めでたく納車出来た事に感謝致しました。彼らには悪いのですが今回のご依頼の達成感を今日は1人で噛み締めておりました。

 

話は少し戻りますが最終的に使用したパーツはK様よりご提供頂いた前後バンパーのメッキモール2本とボンネット裏のインシュレータークリップと言われる物だけで当初の予定通りパーツを殆んど再使用する事が出来ました。やってみないと判らない物ですね。やる前から出来ないはダメですね。何事も前向きにって感じですかね?

 

さあこれが最後になります。プロのカメラマンであるO様の撮影によるシトロエンXMと、まるでモデルの様な素敵な女性K様のクルマ雑誌の1ページを飾るような素晴らしい数々のショットを御覧ください。

(掲載に当っては勿論ご本人の承諾済みです。わたくしが撮った工場がバックの写真と、まあ違う事!)